※この記事はネタバレになる内部写真が多数あります。
万博のサウジアラビア館。

今や行きたいパビリオン上位、行って満足だったパビリオン上位、行きたくてもなかなか行けないパビリオン上位の大人気ぶりで、連日長蛇の列。
それもそのはずで、ここは海外パビリオンの中でも「実際に現地に来た気分になれる」という意味では確実に上位で、前庭、細い路地、壁に囲まれた広場、ナツメヤシの木など、空間ごと小さなサウジアラビアをそこに再現したかのようなリアルな風景が広がっているのです。
壁に使われている石材は、現地から運んできたというから驚きですよね。旅好き、海外好きにはたまらない。


その他の人気の理由としては、
・日本ではあまりお目にかかれない、本格的な現地フードが提供されるレストラン。
・本格的な器具で淹れる珍しいサウジコーヒーをテイクアウトできるカフェ。
・先進的な技術と古くからの伝統の両方に触れることができる展示。
・フレンドリーなスタッフの方々。
・虜になる魅力的な香り。
など、行きたくなる理由が目白押し。


こんな人気のパビリオンですが、朝行くと比較的空いている状態で余裕を持って観覧できることも多いです。
そして、今や20回以上万博を訪れた私が、開幕初期の4月に初めて万博を訪れた日に来たパビリオンでもあるので、とても思い入れがあるというのがこの記事を書いた理由の一つなのですが、それに付随して、18歳で経験したニュージーランド留学での語学学校の思い出も色濃く蘇ってきました。
初めての留学、そして初めての外国人のクラスメイトたち。国籍は様々とは言え、私が在籍したクラスではアジア人が多数を占める中、その次くらいを占めていたのがサウジアラビア人でした。
田舎から突然海外にやってきた無知な私にとって、サウジアラビア人こそが「真の異国人」に見えたことを思い出しました。外見も然り、初めて耳にするアラビア語も然り。学校の中では、英語を聞くよりアラビア語を聞くことでの方が海外にいることを実感していたくらいです。
そして毎週金曜日の礼拝の日や、語学学校で毎週開かれる卒業式などの日は、彼らはトーブと呼ばれる、白い長そでの足首まであるガウンを纏った正装で校内を歩いているのです。初めて目にする中東の正装。初めて知る儀式。

彼らと話す中で初めて知った、遠い国の、日本とはあまりにもかけ離れた日常の暮らしを知り、世界の広さを知ると共に、初めて感じた「自分が豊かになる」という感覚。
全く知らなかった国の文化や暮らしを知ることで、その国に親しみが湧いて身近に感じる。そして自分の中の国際性が育つことの楽しさを知ったのは、間違いなくサウジアラビアがきっかけだったのです。
ニュージーランドにいた頃は、学校にも街中にも、当たり前のように溢れていたサウジアラビア人。
それなのに、もう少なくとも10年以上はその名を目にすることも思い出すこともありませんでした。
それが万博を機に、再び親しみを感じる国となり、あの頃のワクワクした気持ちを思い出させてくれた。
私にとっての万博の楽しさは、海外時代をふいに思い出したり、あの頃の様に、知らなかった国の事を知ってその国を身近に感じながら、自分が豊かになっていく感覚を味わえることなのだと感じたきっかけになったのでした。
