留学前の話

ニュージーランドを留学先に決めた理由6選

 ニュージーランドとの出会いは高校一年生の冬、学校の語学研修プログラムでした。小学生からの夢だった海外留学を実現する為に英語科がある高校に進学し、語学研修に参加するのは目標の一つだったのですが、国は正直どこでも良かったのです。そして語学留学のチャンスが訪れた際の行き先がたまたまニュージーランドだったのでした。

 しかし、恥ずかしながら当時の私はニュージーランドについての知識などまるでありませんでした。

ニュージーランドってどこ?と一言目に言ったのを覚えています。

 研修に行くにあたって開かれたオリエンテーションに参加したり、独自にリサーチしていく中で、南半球にあるのか!島国なのか!オーストラリアの隣だったのか!と知ったくらい。

 もしこの機会がなければ、一生深堀りすることはなかったであろうニュージーランド。たった一度、3週間だけ滞在したこの国を、高校卒業後の留学先として即決したわけですが、果たして何がそこまで私を虜にしたのか。当時の気持ちをそっと思い出しながらまとめてみます。

とにかく美しい自然が多い

 日本と同じくらいの国土でありながら、人口はなんと北海道の全人口とほぼ同じ。人に対してどれだけ自然が多いかがわかります。豊かな自然に埋め尽くされた広大な大地に人間が住まわせてもらっているという表現がしっくりくるほど、ニュージーランドの自然は人々によって大切に保護され、尊重されていることが伝わってきました。

 山も海も川も湖も、全てが息をのむほど綺麗。

 田舎育ちの私にとっては、初めて訪れた国であるにも関わらず、その美しい自然に囲まれた環境がとても肌に馴染んで親しみと癒しを感じたのでした。

 大都市でメジャーな留学先のように弾けるような刺激はないかもしれない。

 でもただでさえ、初めての留学は言葉や文化の壁といった試練で溢れているのですから、環境くらいは、自分をたっぷり癒してくれてストレスのない所の方が良いんじゃないか。

 少なくとも、初めてのホームステイで、英語でのコミュニケーションもかなり乏しく落ち込んでいた私は、この国で出会った全ての自然に毎度120%癒されて、たった3週間という短い期間の中でも、ニュージーランドという国の広大な自然の元では自分の悩みも些細なことに思えるようになったくらいでしたので、相当虜にさせられていたのでしょうね。

 結果、留学先に選んで大正解でした。学生として語学学校や現地の専門学校に通っていた時代も、社会人として毎日働くようになってからも、煮詰まったり、落ち込んだりした時に、この美しく壮大な自然に自分がどれだけ癒されて、それがいかに自分にとって大事かということを思い知らされる毎日でした。

 疲れを感じたら、近所の湖のビーチ沿いや大きな山、時にはちょっと遠くの川や海で、ゆっくり深呼吸をして、好きなものを食べながらぼーっとしたり、目を閉じて自然の音を聞いたりするだけで、気持ちがまたリセットされる。そのおかげで「ストレス」という言葉を思い浮かべることはほとんどないニュージーランド生活になりました。

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ハンマースプリングス

空気が綺麗

 先程も書いたように、広い国土の割に人口がとても少ないので、環境汚染も少なく、いつでも空気が澄んでいます。どこにいても深呼吸したくなるくらい、木々から放たれるマイナスイオンをいつでも盛大に浴びることができることの癒し効果は格別です。

 高校時の人生初めてのホームステイ体験で、英語が全く通じず、理解もできず、悔しくて悲しい気持ちになった時、ステイ先のバルコニーに出て、街の景色を眺めながら何度も何度も深呼吸をしたら、体内に新鮮な空気が流れ始めるのに比例して、あらゆるネガティブな感情さえもあっという間に排出されるような感覚になったことを覚えています。

 もちろん、暖炉文化ならではの冬の煙突からの煙や花粉問題など、人それぞれ相性の良し悪しがあるので、私が軽々しく保障できるものではありませんが、少なくとも自分の体にはとても合っていたのか、鼻の奥まで入ってストレートに体内を循環する空気の匂いも味も、今でも鮮明に思い出せる程、素直に肌から溶け込んでいくのです。

 ひと呼吸で一気に体中の空気が入れ替わるようなあの清々しさは、間違いなく精神を穏やかに保ってくれるパワーがある。

 WHOのデータを見ても、ニュージーランドは世界的に見てもPM2.5濃度が特に低い国らしく、良好な空気質を維持し続けているようです。

 国民全体の環境意識の高さも影響しているかもしれませんね!

ちなみにニュージーランド国内で最も空気が綺麗とされているのは「テカポ」だそうですよ!

空がとても広くてとても青い

 ここまで書きながら、私は環境から得られる癒しをかなり重視していたのだなと気づかされました。笑

 初めて研修で訪れた際、まず初めに驚いたのが空。その広さはもちろんのこと、青さは正直あまり日本では見たことがないくらいのロイヤルブルー。日本って、晴れてても何となくモヤーっとしていて、薄い水色という感じですが、ニュージーランドの空は子どもが塗る空の様に純粋な青

 どこまでも続いていそうな広さと、飲み込まれそうな深い青。眺めているだけで自分もその自然の一部になったようなあの感覚。

 留学先に選ぶなら、こんな空の国が良い。ネガティブな感情に押しつぶされそうになっても、青く広い空を流れる長い雲をぼーっと眺めるだけで、私は気持ちがリセットされるのです。

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テカポ湖

時間の流れがゆっくり

 人がのんびりしている分、時間もゆっくり流れているニュージーランド。語学研修で滞在したのはニュージーランド最大の都市オークランドでしたが、それでも毎日がゆっくり流れていく感覚がありました。

 働いていたらまた違うのかもしれませんが、少なくとも急いで歩いている人も、日本と比べると大幅に少なかったですし、カフェのオープンテラスなどにいるランチタイムの会社員かな?という方たちでさえ、ゆっくり心にゆとりを持っているように見えました。

 ホームステイをしたたった3週間でも、日本のように一日が一瞬で過ぎ去る感覚はあまりなく、静かに朝が始まり、静かに夜が更けていく。

 もちろん、日本の様なたくさんの面白いテレビ番組や、休日やアフター5の過ごし方のバリエーションが少ないことも一つかもしれません。

 でも、娯楽が少ないことは、ともすれば、自分の為の時間、人と過ごす時間を、有意義でより深みのあるものにしてくれるとも言えますよね。

 当時高校生ながら、慌ただしく過ぎて行く毎日に少し戸惑いと疲れを感じていた私にとって、肩の力が抜けるようなスローライフはとても魅力的に映ったのでした。

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ワナカ

人が皆おおらか

 これはよくニュージーランドの国民性の一つとして語られますが、その通りで。もちろん人によりますが、少なくとも私のホストファミリーも、友達のホストファミリーも、先生も、お店の店員さんも、私が関わったニュージーランド人のほとんどがおおらかで、言葉が通じない私にも優しくて、とても感動したことを覚えています。

 心にゆとりがあるような、呼吸をたくさん感じる話し方、そして明るくて楽しそうに笑う人も多いイメージです。細かいことは気にしない、悩んでいたらもったいない、人生楽しまないと!そんな人が周りに多くて、私が「この国にまた来たい!」と思った決定打になりました。

お昼休憩で普通にワインやビールを飲んで盛り上がっている様子には良い意味で衝撃的でした。

文化すらおおらか!

日本人が少なそう

 先にお伝えしておくと、これは当時の私がそう思っただけで、実際日本人も、その他のアジア人もめっちゃたくさんいました。

 当時、私の周りで留学する人は、アメリカやオーストラリアが多く、世間知らずだった私にはニュージーランドはマイナーな国という先入観があったので、「英語を勉強するなら日本人が少なそうな国が良い」と思っていたのですが、ニュージーランド第二の都市だったこともあってか、日本人がたくさん。もちろん、そのおかげで今でも連絡を取り合うくらいの大切な友人にも出会えましたし、海外にいながら日本についての様々な知識もつけられたので全くマイナスではありませんでしたが、郊外や小さな町の語学学校に行かない限り、今やどこにでも日本人は多い時代ですよね。

まとめ

 以上、私が留学先にニュージーランドを選んだ6つの理由をご紹介しました。

 たくさんの自然と綺麗な空気。広い広い空。ゆっくりと流れている時間。おおらかで優しい人々。この国の地に体が溶け込んで、全てが解き放たれたような、なんとも言えない心地良さがありました

 そして何より、ニュージーランドで生活している自分の姿が想像できたのです。育った環境に似たものがあったのか、それとも人々が持つおおらかな雰囲気に飲まれて虜になってしまったのか。

 この国を歩いている自分の姿、英語を学びながら多国籍な友達と笑い合っている姿、広い公園のベンチに座って日向ぼっこをする姿。想像できる、というより、そんな自分になりたい、そんな留学生活を送ってみたいと思えたと言う方が近いかもしれません。

 研修で過ごしたたった3週間で、留学するならこの国が良い!という強い意志が芽生え、それはここまでに書いたような理由やきっかけは確かにあったものの、ほぼ直観だったのです。高校を卒業するまでに一応他の国のこともリサーチしてみたものの、ニュージーランド程納得できるわけではなく。一度訪れているというのは大きいでしょうが、その感覚を経験して以来、本能的に「合う!」と感じる地は95%自分に合っているのだと信じています。

 こうして私は、高校を卒業してすぐ、迷わずニュージーランドへ留学することとなりました。

 そしてその後、約8年もこの国で過ごすことになるのですから、人生とは面白いものです。

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